続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

中東やアフガニスタンに広まるフランスに関する“噂”

シャルリー・エブドがインタビューした、『暴力的過激主義』の専門家・Nama Vanierの話が興味深い ↓

 

 中東やアフガニスタンに広まるフランスに関する“噂”

 

(インタビュー抜粋&日本語訳 ↓ )

 

2015年11月18日 1217号

 

《シャルリー・エブド: あなたは中東やアフガニスタンでフランスに対する憎悪の念が高まっていると言います。それはライシテ(政教分離)を掲げていることが原因だと思いますか?

 

Nama Vanier: あちらでは、フランスはイスラム教徒を苦しめる国だと見なされています。反イスラム的と捉えられているいくつかの法律を元に、フランスに関するデマで溢れかえっているのです。フランスでは街中でスカーフを被ることが禁止されている、という話を教養のある人からでさえ何度聞かされたことか。正しい情報の欠如が当たり前の状態で、目を見張るものがあります。噂の中には「女性を淫(みだ)らにする」とか「礼拝が禁止されている」とか「ひげを伸ばしたらダメ」なんてものもあります。要は(フランスでは)自由な信仰が許されていないと思われている。また、オランド大統領がシャルリー・エブドを支援すると言ったと聞けば、大抵の人が「オランドはムハンマドに反感を持っている」と解釈します。多くのイスラム教徒が意味を知らないまま、ライシテ(政教分離)という言葉だけが独り歩きして、フランスは他の国とは違う、と思わせているようです。英語圏にはない、宗教を“押さえ込んでいる”部分ばかりが誇張されている。過激主義者はそのライシテについての誤解を利用していると言えます。》

 

                         

 

ということなのですが・・・

 

フランスが公共の場での着用を禁止しているのは、ブルカやニカブ。目以外または目も含めて全身をすっぽり覆う衣装で、主に治安(※)を理由に禁止しています。(※一見正体不明なので犯罪の隠れ蓑にしたり危険物を隠し持つのに好都合等)

そして、スカーフが禁止されているのは、学校のみ。その学校も小・中・高だけで、大学では自由に被ることができます。ちなみにフランスの学校ではスカーフ以外にもユダヤ教徒の男性が被るキッパやキリスト教の象徴である十字架の着用も禁止されています。要は学校でのライシテを徹底するための法律なわけですが、フランスの事情をよく知らない中東やアフガニスタンでは、“禁止”という言葉だけが独り歩きして「スカーフの着用はどこでも禁止」という誤解が定着してしまったようです。

 

「礼拝禁止」も「道端で絨毯を広げて礼拝するのが禁止」というのが「礼拝そのものが禁止」というようにスカーフと同等の経緯で広まった噂だと思われます。

 

それにしても「女性を淫らにする」とか「ひげを伸ばしたらダメ」なんていうのは明らかなデマ。「女性を淫らにする」というのは、自由な恋愛を禁止する地域からしてみればある意味その通りなのかもしれませんが、「ひげ禁止」は何がどうなってこの噂に行き着くのか、全く持って不明です。

 

ここで問題視しなければならないのは、これらの噂によってただ単にフランスが笑いものになっているのではなく、明らかな反感や憎しみを生んでいるということ

 

更にはそれらのデマをテロリストたちが利用しているというから事態は深刻。130人が犠牲になった原因の一つが「デマ」だなんて、笑い事ではありません。