続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

みんなで水木しげるを読もう!

11月30日に亡くなった水木しげる氏の訃報をフランスメディアも一斉に報じました ↓


みんなで水木しげるを読もう!
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水木氏は2007年にアングレーム国際漫画祭で『国際漫画賞』を受賞したこともあり、フランスにも相当数のファンがいます。

何を隠そう、私も子供の頃に『ゲゲゲの鬼太郎』に夢中になった一人。アニメが始まるとテレビにかぶり付いて見ていました。

大人になった今も水木作品とのふれ合いは続いていて、現在、我が家にある彼の著作はこの2冊 ↓



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『ゲゲゲの鬼太郎1』 講談社 そして 『Vie de Mizuki 1. L'enfant』 Editions Cornélius

前者は、直近でブログの更新が滞っていた時に遊びに来た実弟に持ってきてもらったもので、現在、旦那さんが慣れない日本語の知識を駆使して読破中。 後者を買ったのは今年の夏。このブログでも紹介したことのあるRiad Sattoufというフランスの漫画家(バンドデシネ作家)がインタビューで、「最近、素晴らしい自伝を読んだ」と水木氏の作品を絶賛していたので迷わずゲットしました。

これは6巻からなる原作『ボクの一生はゲゲゲの楽園だ』の2巻分を翻訳&収録したもので、水木氏の誕生から太平洋戦争出征直後までが描かれています。

そう、水木氏はあの戦争を知る最後の日本人漫画家でした。

1943年、二十一歳で赤紙を受け、パプアニューギニアのラバウルへ。 私が読んだ第一巻の内容はここまでですが、2巻目以降に激戦地での地獄のような日々が綴られているようです。 自他共に認める楽天家だったと言われている水木氏の戦争漫画には、過酷な中にコミカルなシーンがいくつも登場しますが、それが逆に辛いシーンを引き立たせ戦争の悲惨さを教えてくれます。

以下のバンドデシネ(※)では、水木氏が“戦争をありのままに描く数少ない漫画家”の一人であると紹介しています。

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(※ Anne Frank au pays du Manga(マンガの国のアンネ・フランク←直訳):戦争加害国である日本において、自国の卑劣な過去について書かれた本はほとんど出版されていない中、“なぜ『アンネの日記』ばかりが売れるのか”を追った作品。Arteのサイトでデジタル版を読むことができます。フランス語がわかる方は是非ご一読を! http://annefrank.arte.tv/fr/ )

この本によると、水木氏の他にこれまでに戦争を美化しない作品を描いたのは、手塚治虫、本宮ひろ志、そして中沢啓冶(「はだしのゲン」の作者)の3人。

ただし、戦争をありのままに描く彼らの作品に対する風当たりは強く、本宮氏は南京大虐殺に関する表現をカットさせられ、『はだしのゲン』は一部の学校で閲覧制限されたことがありました。

水木氏に関しては、「戦争ものは売れないから」という理由で原稿料が必要以上に少なかったという話もあるようです。

本宮氏の発言が本質を突いています ↓ ≪日本人は史実を拒絶しているのではなく、面倒くさがっているだけ。(戦後)経済が発展して放任主義になっちゃった。自分の考えを主張するのは相当のエネルギーを要するけど、ほとんどの日本人はそのための力を持ち合わせていない。教養がない上に開き直ってる。

平和な生活に甘んじて過去を知ろうとしない・・・私自身がそうだったので、日本人の多くが自国の史実に無関心なのは仕方がないと思うこともあります。でもそんな国民につけこんで、歴史を美化し歪曲しようとしている人間を放っておくわけにはいきません。

私たちにできることは何か。

私たち庶民が手っ取り早くできること、それは、前述の4人を始めとする漫画家や作家の戦争作品を読んで史実を知ること、そしてそれを子供たちにも伝えていくこと・・・ではないでしょうか。

※手塚治虫の作品はほとんどがフィクションですが、戦争を美化していないという意味でフランスで評価されています。唯一『ぼくのマンガ人生』(岩波書店)という著書に、自身の戦争体験が綴られているようです。