続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

「Samuel Paty中学校」と「Samuel Paty通り」

フランスの学校の名前は、幼稚園から高校まで、たいていの場合が人名です。

「Victor Hugo中学校」という、誰でも知ってる歴史上の人物から、Wiki検索でもしないと聞いたことがない知る人ぞ知る人物まで、知名度は様々。

そんな学校の名前を、「Samuel Paty(※)」にしよう!と意気込んだ町長さんが現れました。

念のため → ※Samuel Paty事件 2020年10月16日、パリ郊外の中学校の近くで、Samuel Patyという地理歴史教師が、見ず知らずのイスラム過激主義者に斬首されるという、前代未聞の事件が起きた。事の発端は、Samuel Patyが、表現の自由をテーマにした授業の一環で風刺新聞シャルリー・エブドの風刺画を生徒たちに見せたこと。その授業をイスラム教徒の生徒が保護者に報告し、保護者がSNSで授業内容を広めたことで、教師とは接点のないイスラム教徒にまで憎悪を煽ったとされる。

場所は、Toulon(トゥーロン)近郊(南仏)のOllioules町にある「Les Eucalyptus(ユーカリ※)中学校」。(※はい、コアラが好きなアレです。)

元の名前が人名ではなかったことも大きいかもしれませんが、とにかく町長さんの思い入れも強かったようで、遺族の承諾を得て教職員会議を通し、あと一歩のところまで、トントン拍子で進んだようです。

ところが、その中学校の校長が、別にやる必要もない校内アンケートを実施したところ:教員の100%(!)、保護者の89%、生徒の69%が中学校の改名に反対していることが判明してしまいました。

さすがの町長さんも、この結果は無視することはできず、改名は白紙に。

でも、生徒や教師が証言しているように、今この時点でSamuel Paty中学校に通うのは、それが教師であろうと生徒であろうと、肩の荷が重いというか、単純にそれまで以上にテロの恐怖にさらされる気がするのはわかる気がします。


ところ変わってトゥールーズ。

フランスで4番目の人口を誇るこの大都市でも、パリとナントに続いて、Samuel Paty通りが“開通”することになりました。

1月29日に市議会で決定したことで、正式に名乗るのは数か月後だそうです。

ちなみに、パリでは、通りだけではなく、広場や公共の庭もSamuel Patyと名付けられる予定で、「人名をつける場合はその人が亡くなってから5年の歳月を経てから」という法律を無視しての異例の採決となったようです。


気になるのは、中学校にしろ、通りにしろ、勢いで決めちゃった(決めそうになった)というか、ぶっちゃけ、政治家たちのパフォーマンスに見えてしまうところ。

Samuel Patyという名の通りや中学校がどれだけ増えようと、表現の自由について学んだり議論がなされたりし続けなければ、本当のオマージュとは言えないはずです。

事件を風化させないという意義があるだけ無駄ではないのかもしれませんが・・・