続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

【あれから10年】本当に福島でオリンピックを開催していいのか?

東日本大震災が発生して10年が経ちました。
(昨日のうちに更新できませんでした。あしからず)

10年前、私はオーストリアにいて、長男はまだ8か月、慣れない子育てに右往左往する日々を送る中、ネットで震災の発生を知りました。

オーストリアでも津波の映像はテレビで何度も流れ、海外にいて何もできない自分の無力さに虚しさを覚えました。

震災の被災者の多くは、津波が原因で亡くなったり行方不明になったり、負傷したり、住む家や家族を失った人、そしてその後のストレスで病気になる或いは死に至る人たちであり、その事実を風化させてはいけないのは百も承知です。

でも、同じ原発大国にいて、日本よりも少なからずまともな情報が手に入る環境にあって、日本ではそのほとんどが歪曲される原発事故やその被災者の現状は、やはりどうしても少しでも多くの人に伝えたい、そう思わずにはいられません。

今も、福島やその周辺では、多くの子供たちが、浴びるべきではない放射線量にさらされる日々を余儀なくされています。

住民の健康が優先されていたならば、今、福島には誰もいないはずです。

それが、原発を推進したい人たちの強欲によって、留まらせ、支援を切り、帰還させることがまかり通っているのです。

住民たちの郷土愛は利用されます。

住民を留まらせたり、帰還させたりすることで、「原発事故は大した悪影響をもたらさない」と見せつけることができます。

そうやって、原発は推進されるのです。

今後もしフランスで原発事故が起きれば、チェルノブイリや福島と同じように、避難したくてもできない人、早期に帰還させられる人が出てくるでしょう。

住民の健康を気づかうことは原発を諦めることを意味します。

誰も、今すぐにすべての原発を停止しろと言っているのではありません。

事故のリスクが高いと判断される原発から停止していく。もう新しい原発は作らない。そして、これまで起きた事故を正当に評価して、被災者の体調に真摯に向き合う。

そうすることで、今後、どれだけの命を救うことができるでしょうか?



昨日、フランスのテレビでも10年目の東日本大震災が取り上げられました。

ほとんどのニュース番組は、数十秒で当日の様子を振り返り、追悼の様子を伝えただけでしたが、FRANCE3という公共放送の一つが他とは少し違う報道をしました。

「あれから10年 福島で競技が行われる」と題して、2021年7月に予定されている東京オリンピックで、野球の競技等が福島県で開催されることを伝えたのです。

www.france.tv

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ニュースでは、福島県でオリンピックの一部の競技を開催するのは日本政府の強い意向であるとした上で、競技場内でオリンピックの運営委員の一人が開催決定を喜び、屋内で野球を楽しむ住民が「放射能以外のことで私たちのことが話題になって嬉しい」と大歓迎する中、今も仮設住宅での生活を強いられている女性が映し出されました。そして彼女は、「福島でオリンピックなんてやってる場合じゃない」「もっと他に考えることがある」と一蹴したのです。その後は、地元の農産物や魚介類を食べるのは不安ではないかと尋ねられた中学生だか高校生が二人とも、「ちゃんと検査しているだろうから、気にしない。」と答えて終わりました。

日本では、「復興五輪なんて言ってる場合じゃない」と言ったジャーナリストが叩かれていましたが、被災者、特に自主避難者や今も仮設住宅での生活を強いられている人の中には同じように思っている人が少なくないのではないか、と思わされたニュースでした。