続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

メ―ガン妃とエリザベス女王が描かれた風刺画

メ―ガン妃がエリザベス女王に踏みつけられているように描かれた、シャルリー・エブドの風刺画が、一週間前からイギリスで物議を醸しているようです。

片やフランスでは、「イギリスで物議を醸している」と報道されるに留まっており、風刺画そのものを批判する記事は、私が見る限り見受けられません。

フランスでは王室が廃れて久しく、王室を去ったり去られたりする人たちに感情移入するフランス人はほぼ皆無です。

そうでなくても、この風刺画は、メ―ガン妃とヘンリー王子が、アメリカでテレビ出演した際に語ったことを受けて、「王室で人種差別があったんだって~」と風刺しただけで、決してエリザベス女王が差別主義者だと断定しているわけではありません。

実際に人種差別的な発言をしたのは女王本人ではないようですが、イギリスの王室を最も象徴しているのは女王であり、“犯人”が王室関係者である以上、女王の存在はこの風刺画には必要不可欠です。

また、メ―ガン妃と女王が、アメリカで大きな波紋を呼んだジョージ・フロイドと白人警官を彷彿とさせるように描かれていることを批判する報道や意見が多いようですが、風刺画は、「人種差別っていうけど、ジョージ・フロイドが受けたみたいな差別?」と問いかけているに過ぎません。

なぜ問いかけているかというと、この風刺画がメ―ガン妃の立場を揶揄しているからです。

差別を受けても、その場を去ることが可能で、「差別を受けた」と発言する場を与えられ、その発言を何百万人、何千万人に聞いてもらえて、挙句の果てに自分たちの財団の宣伝までさせてもらえる(←これ大事)わけで、多くの場合泣き寝入りで終わってしまう一般市民とは、置かれた環境が明らかに違います。

その他大勢の人種差別を代弁するには、立場上無理があるんじゃないの?・・・と、メ―ガン妃&ヘンリー王子の一連の言動を疑問視するとともに、ジョージ・フロイドが受けた差別と同一視していいの?と私たち読者に問いかけているのです。

・・・というわけで、毎週シャルリー・エブドを購読している人間にとっては、なんの問題もない、それどころか秀逸だとすら感じる風刺画なだけに、年に一回ペースでたったの一枚だけを見て批判する同業者(特に日本のメディア)の報道の仕方には、毎度のことながら納得がいきません。
 

ちなみに、この号の裏表紙には、表紙とは別に3枚の関連風刺画が掲載されています。

その3枚は・・・

  • 「イギリス女王は差別主義者なのか」と題して、エリザベス女王が「貧しくなりたくないならやってはいけないこと!」と言いながら黒人の胎児を産み落とす瞬間を描いた1枚

  • 「ギャングのウルトラバイオレンス」と題して、メ―ガン妃を侮辱する放送禁止用語を吐き捨てながら、睨みを聞かせる女王が画面いっぱいに描かれた一枚

  • 「黒い歴史は繰り返される」と題して、メ―ガン妃の息子がダイアナ妃が事故死した橋の下で事故に遭う様子を描いた一枚

という感じで、はっきり言って、見た目は表紙よりも“エグい”ものばかりです。
 

この3枚をスルーして、表紙だけがアウト・・・ということはないと思うので、やはりみんな表紙しか見てない、ということなのでしょう。

シャルリ―・エブドを毎週読んでいれば、風刺画の見た目を真に受けていては限がないことに気がつきます。

そして、見た目とは裏腹の奥深さを読む楽しみが生まれ、病みつきになります。

そうして今も、数万人のコアな読者が、毎週水曜日を楽しみにしているのです。

物議を醸す度になされる解釈が当て嵌まる風刺画ばかりを載せる新聞なら、とうの昔に廃刊になってます!!


(相変わらずピンボケですが、2021年3月10日付1494号の裏表紙です。)

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