続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

次男も4歳と2か月

先月、次男が4歳と2か月を迎えました。

なぜ、切りのいい「4歳」ではなく、「4歳と2か月」かというと、この年齢と月齢がユニセフが公表する卒乳の平均年齢だと言われていて(※)、次男も長男同様、母乳を飲み続けて4年と2カ月が過ぎたからです。

(※卒乳平均年齢は、疫学的に世界中の卒乳年齢を調査したのではなく、Katherine A. Dettwylerというアメリカ人・人類学者の研究を元に、他の霊長類(サルなど)の平均から人間の平均自然卒乳年齢を出した、というのが正しいようです。なので、人間の子供の本能の赴くままに、自然にまかせて卒乳を迎える平均年齢が4歳と2か月になるだろう、という推測です。)

長期授乳は、長ければ長いほどいい、というものでは、もちろんありません。

長期授乳をする母親が目指すのは、「自然卒乳=円満なフィナーレ」。

http://solanin928.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-ea92.html

「円満なフィナーレ」が意味するのは、「子供が、もう母乳は要らない、と“言う”とき」であり、それは1歳未満のこともあれば、8歳、いやそれ以上(!)なんてこともあります。(“言う”が括弧書きなのは、まだ言葉を話さないうちに飲むことをやめてしまう子供もいるから。)

我が家の場合は、長男も次男も、私が要求に応えていたら、いつの間にか4歳と2か月が過ぎていました。

そうして、長男は6歳まで飲み続け、次男も卒乳はまだまだ遠い未来のことだと言わんばかりに、毎日欠かさず起き掛けと就寝前、そして夜中に1~2回しっかり飲みます。

4歳でこの回数なので、生まれてから1歳くらいまでは、まさに“おっぱいにぶら下がっている”状態でした。

正確に言うと、“回数”が多かったというよりは、飲む時間が30分以上は当たり前、長いときだと、1時間とか2時間なんてこともあり、夜中に私自身が眠りこけてしまって、ふと目が覚めたらまだ飲んでいた、なんてことはザラでした。

正直、与えている側の私は「しんどい」「うんざり」「もうやめたい」と何度も思い、実際に次男に自分の気持ちを打ち明けてしまったことさえあります。

長男の時に感じた授乳の楽しみや喜びも、ほとんどないに等しく、次男を出産してから夜通し眠れたことは、この4年間で数えるほどしかありません。

そんなに“辛い”長期授乳をなぜ続けてきたかというと、それは、一にも二にも次男の授乳に対する執着が強すぎて、断乳(授乳をやめること)が、とてもじゃないけど現実的ではなかったからです。

・・・と似たようなことを、長男が4歳と2か月を過ぎたときに投稿した記事にも書いたので、結局、この10年間、授乳している理由の一つは、一度も変わらなかったことになります。

http://mafrance.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-668d.html

そもそもが、母親の私がどんなに強い意志で「授乳を続けたい!」と思っても、当の子供が嫌がれば、そこで授乳は終わってしまいます。なので、「子供がまだ飲みたいから」という理由抜きには、授乳は続けられません。

ネット上では、授乳を続ける母親を「授乳妄信者」とか何とか言って非難しているのを時々見かけますが、妄信も何も、私たちはあくまで受け身。子供の生理現象の一つを“お世話”し続けているに過ぎないのです。

前述した人類学者のKatherine A. Dettwylerは、フランスのレーチェリーグに掲載されているインタビューでこんなことを言っています。
https://www.lllfrance.org/vous-informer/fonds-documentaire/autres-textes/1095-l-allaitement-long-quelques-textes-et-etudes
 
多くの女性がそそくさと断乳してしまうのは、周りが「別に続けなくてもいいよ」とか「子供(もしくは母親)のわがままだ」とか「長く続けても何の意味もない」などと急かされるからです。私自身がこうして話す目的は、いつまで授乳するべきかを指導することではなく、母親たちが正確な情報を得て自分自身で決断できるようになって欲しいからです。
ある日、私はある医師と、人が自然に卒乳する年齢は2,5歳から7歳の間だろう、という人類学の研究結果について話をしました。医師は「患者(母親)に、子供が2歳半になるまで授乳しなさいと言わなければならないということですか?」と聞いてきました。私は、「2歳半まで授乳しなさい、と母親に言うべきだなんて誰にも勧めません。伝えるべきことは、私たち人類が自然に卒乳する最低年齢が2歳半らしいですよ、ということです。それが普通だとわかっていれば、(長期授乳を)受け入れやすくなります。」と答えました。

妊娠期間が9カ月だということは、誰もが当然だと思っています。今は、早産でも子供を生かすことはできますが、妊娠期間を短縮するためだけに3カ月早く産みたい、と思う母親は、子供が負うリスクを考えれば皆無でしょう。一方で、「新生児集中治療のサービスに“子宮と“同じくらいの価値”があって、9カ月間丸々妊娠している必要はないですよ」と女性に言い聞かせれば、そのうちの何割かは、6カ月で産むことを選ぶようになるはずです。同様に、授乳に関するあらゆる知識や情報を得たある女性が、6週間だけ授乳すると、彼女の意思で決めた場合、私個人がとやかく言うことはありません。つまり、3歳の子供を持つ母親が、授乳はもう十分だと断乳を望んでいるならば、それを貫く権利があります。そもそもが私自身、二人目が5歳半の時に、子供は止める気は全然なかったのに、断乳したのです。

https://www.lllfrance.org/vous-informer/fonds-documentaire/autres-textes/1095-l-allaitement-long-quelques-textes-et-etudes


授乳するかしないかは母親の自由だけれど、平均卒乳年齢を知っているかどうかが、授乳をするかしないかや継続するかどうかの判断を大きく左右する・・・

ということなのですが、私はたまたま、授乳を国レベルで推奨するオーストリアで長男を産み、「授乳は妊娠・出産のつづき」という“常識”の中で子育てを始め、その方針を次男を出産してからも引き継ぎました。

辛くても続けたもう一つの理由は、長期授乳は普通のことだと知らされていたからです。

もし私が、授乳、特に卒乳年齢に関する情報を誰からも与えられていなければ、置かれた環境で“常識”とされることに従い、子供にとってはまだ必要な授乳を“世間体”のために無理矢理やめてしまっていた、もしくは最初からミルク育児に甘んじていた可能性すらあります。

インタビューの回答後半部分の「条件さえ整っていれば、妊娠期間を6カ月に短縮することを受け入れる母親がでてくる」という話は近い将来実現するかもしれず、まさに授乳期間が、同様の経緯で、短縮されたことを物語っています。

ミルクは母乳ほど完全ではないけれど、人工ミルクだけで子供を育てることが可能になり、授乳期間は数年から0日にまで短縮できるようになりました。

もちろん、どんなに試行錯誤しても母乳が出なかったり、その他諸々の事情で母乳を諦めざるを得ず、人工ミルクの恩恵を受ける母親も沢山います。

でも、「続けられたのに、1歳で止めるのが当たり前だと思って(そう周りに言われて)断乳した」というケースが大多数を占めているのは、特に飲み続けたかった子供にとってあまりにも残念だと思います。
 

少し話はそれますが、Katherine A. Dettwylerは、レーチェリーグからの「霊長類と人間を比較して出した卒乳の平均年齢に正確性はあるのでしょうか」という質問に以下のように答えています。
 
人類学では、ヒトはあらゆる面において、霊長類に限りなく近いことがわかっています。ヒトに最も近い霊長類は、道具を使い、複雑な“言葉”でコミュニケーションをとり、集団におけるルールを持ち、グループごとにそれぞれの“伝統的な文化”すら持ち合わせています。私たちは、霊長類の中でも最先端に位置し、その中で最も長い妊娠期間を経て、大人になるまで最も長い期間成長し、繁殖可能な年齢も最も高いと言われています。その中で、授乳期間だけ度外視する理由はあるでしょうか?

私は今、一人の子供を3歳以上授乳した母親たちのデータを集めています。その一番の目的は、そうする母親が私たちの周りにもいると証明することです。それ以外にも、3歳以上の長期授乳がもたらす効果を研究する際にそれらのデータが役立てばいいと思っています。現在、すでに2000人の子供に関する返答があります。その一部を紹介すると、2人の子供に9歳まで授乳した母親が二人、子供が8歳になるまで授乳した母親は10人、3人の子供にそれぞれ6歳まで授乳した母親、5歳・2歳・3カ月の双子という4人の子供に同時に授乳していた母親、などがいます。これらはすべてアフリカの奥地でもパプアニューギニアでもない、アメリカのケースです。

https://www.lllfrance.org/vous-informer/fonds-documentaire/autres-textes/1095-l-allaitement-long-quelques-textes-et-etudes
 
ちなみに私は、オーストリアでこそ、母乳育児仲間がワンサカいて、子供が4歳を過ぎても授乳していた母親に沢山出会いましたが、フランスでは、滅多に“仲間”に出会うことはありません。

それでも、私がフランスで直接知っている子供の卒乳最高年齢は、9歳です!この子(女の子)の母親はマダガスカル出身で、マダガスカルでは長期授乳が当たり前らしく、(そういうアフリカ諸国からの移民がフランスの授乳率を上げていたりするのですが)彼女の元旦那(同じくマダガスカル出身)は、なんと、14歳まで哺乳していたそうです!

この話を聞いたときは、さすがの私も年齢を3回くらい聞き直しました。でもその後に日本のテレビ番組でモンゴルでも15歳前後で哺乳する子供が紹介されたと知り、世界中を探せば、10代半ばでも哺乳する子供は、私たちが想像する以上に多いのではないかという気がしています。

冒頭でも述べた通り、授乳は長ければいいというものではありません。でも、10歳を過ぎても飲んでいる子供がいることが世間に周知されることは、長期授乳をする母親が、これ以上肩身の狭い思いをしないためにも、とても大事なことだと思います。


・・・という感じで、「長期授乳は自然なことなんだ」という話をしてきたわけですが、この記事を読む前は、2歳でも「気持ち悪っ」と思っていた人も、もう6歳くらいまでの授乳なんて当たり前~に思えるように、さらに一押しして、ココログで書いた「長男の4歳と2か月」を報告する記事に貼ったリンクのページが色々なくなっていることもあり(って「Naverまとめ」がいつのまにかなくなっていた!)、長期授乳を推奨するリンクを、これでもかっ!というくらい貼っておきます ↓ (気になるタイトルがあれば、一件でもいいのでクリックしてもらえると嬉しいです!)


『母乳を2歳以上まであげるべき4つの理由』 ↓
https://rikei-ikuji.com/?p=4814
 
 
 
 
『多分一番円満にフィナーレを迎えられる卒乳・自然卒乳』(同上) ↓
http://bonyuugairaitosyokan.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-ea92.html#_ga=2.210593173.1880122609.1620386626-464394134.1610555815
 
 
『4歳まで授乳を』 きのした小児科クリニックホームページ(福岡県) ↓
http://www.kinoshita-children.jp/%E9%99%A2%E9%95%B7%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/%EF%BC%94%E6%AD%B3%E3%81%BE%E3%81%A7%E6%8E%88%E4%B9%B3%E3%82%92/
 
 
『何歳で卒乳すると頭がよくなるのか、卒乳時期の早い・遅いの違いとは?』 ↓ 
https://www.ikuji-research-blog.com/entry/when-good-for-child-stop-breastfeeding
 
 
『What's Right About A 6-Year-Old Who Breast-Feeds』NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)
https://www.npr.org/sections/13.7/2015/01/15/377384587/what-s-right-about-a-six-year-old-who-breastfeeds?t=1620474480184


『【おっぱいのチカラ(5)】5歳も飲む 長い母乳期間、高い認知能力「断乳」から「卒乳」へ』産経WEST ↓
https://www.sankei.com/west/news/140923/wst1409230012-n1.html

 
『母乳について「科学的」にわかっている事実 人生で一番大事な最初の1000日の食事』 ↓
https://diamond.jp/articles/-/218539
 

『【経験談】1歳4カ月で断乳できたけど・・失敗だったと後悔した話』 ↓
https://tenparimama.com/dannyuu/
 

『中学生まで飲みなはれ』(沖縄の助産師HISAKO) ↓
https://blog.babu-babu.org/breast/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%81%A7%E9%A3%B2%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%AF%E3%82%8C/