福島の海に放出される汚染水に含まれるトリチウムの全量は、フランス北西部の再処理工場で放出している約1~2か月分
日本政府と東電が、福島第一原発で2022年に保管しきれなくなる「汚染水」(←日本のメディアは怖気づいて「処理水」と言っている)を海洋放出する方針を決めたことについて、フランスでも、各種メディアが一斉に報道しました。
同じ原発大国、いや、原子炉を56基も抱える、超原発大国で、一体どんな報道がされたかというと・・・
BFMTVという、大袈裟な報道で良くも悪くも有名なニュースチャンネルは、福島の汚染水を巡る一連の情報を伝えた後、なんと、「実はさぁ、フランスでもやってるんだよね。」と、自国の“悪行”をばらすという暴挙に出ました。
https://rmc.bfmtv.com/emission/pourquoi-les-japonais-ont-decide-de-reverser-les-eaux-contaminees-de-fukushima-dans-l-ocean-2041257.html
実は、フランスはLa Hagueという町には、「ラ・アーグ再処理工場」という施設があり、世界各地(日本含む)から使用済み燃料を受け入れては再処理し、その過程で出た汚染水を海に垂れ流しているらしいのです。
こちらのサイトによると、取り除くのが一番難しいと言われているトリチウムのフランス政府が定める限度量が、年間1万8500TBq(テラベクレル)なのに対して、例えば、2019年には1万3200TBqが放出されました。
この量は、福島で放出されようとしている汚染水に含まれるトリチウムの全量の約12倍。
つまりは、この記事のタイトルにもした通り、ラ・アーグ再処理工場から放出される汚染水に含まれるトリチウムの月平均量が、福島で海洋放出しようとしている汚染水に含まれるトリチウムの全量にあたるわけです。
と聞くと、「なぁんだ、じゃぁ福島の放出量って大したことないんじゃん」と思いがちですが(と思わせるのが報道の意図??)、福島の汚染水には、一リットルあたり86万9000ベクレルのトリチウムが含まれていて、決して無視できる量ではありません。(日本の水道水に含まれるトリチウムの平均量は1ベクレル/ℓ)
(詳しい数値は以下のブログの最新記事でどうぞ ↓)
http://www.fukushima-blog.com/
さて、トリチウムを放出しまくっているフランスで健康被害が出ているかどうかですが・・・そんなことはわかりません。
数年、数十年をかけて人体に被害が出ても、汚染水の影響と関連付けられないからこそ、涼しい顔で垂れ流し続けることができるのです。
一つ言えることは、フランスの癌の患者数は毎年増え続けていること。
もう一つ言えることは、癌の原因の60%は特定されていないこと。
処理施設に限らず、原発が稼働していればトリチウムは大気中にも水中にも放出されます。
全国に原発が点在しいるフランスで、「癌の原因は放射性物質ではない」とは言い切れません。
https://www.criirad.org/actualites/dossier2019/Note_CRIIRAD_tritium.pdf
上のリンク先の報告書は2019年6月にCRIIRAD発表したものですが、フランスの西寄りの内陸に位置するChâtelleraultという町では、水道水に含まれるトリチウムの量を最高55ベクレル/ℓ、そして、Chinon原発から19kmに位置するSaumurという町では、最高310ベクレル/ℓまで検出した、と書かれています。
また、ローヌ川沿いに建設されたトリカスタン原子力地区で採取した川の水からは、上流域に比べて14倍の、109ベクレル/ℓのトリチウムを検出しています。
フランスで稼働中のすべての原発の半径数十キロ圏内が、きっと同様に汚染されているのでしょう。
その他の放射性物質同様、トリチウムに発がん性があるのは、遺伝子を傷つけるからです。
数年前に、フランスで、片手や片腕がない子供が増えてるのがニュースになってたのは、もしかして・・・!?