極右が政権を握ったら在仏日本人は一体どうなってしまうのか
・・・という不安が増してきたので、今更ながらFNことFront National(フランスの極右政党)のホームページを訪問してみました。
メインページでは、直近の県議会選挙の結果が表示され、得票数ではすでに「FNが第一党!」であることが強調されています。
そして、FNの政策に関しては、106ページに及ぶ“政策ブックレット”とやらが出ていて、PDFファイルで読むこともできます。
ただし、今回は在仏日本人に直接的な影響を及ぼす政策リサーチなので、「Immigration(移民)」の項目に直行。
http://www.frontnational.com/le-projet-de-marine-le-pen/autorite-de-letat/immigration/
移民政策は、周知の通り、FNがもっとも力を入れたいテーマであり、他の防衛・司法・文化・教育などのページに比べると、ボリュームが群を抜いています。
このページがいつ書かれたのかは不明ですが、冒頭から展開されるのは「サルコジ前大統領批判」!
「(事実上のライバルである)サルコジは全く頼りになりません。」ということを言いたいがために、様々な数字を挙げて、サルコジ政権下では移民政策は何の効果も示さなかった、それどころか移民が増えた!そしてフランス人が迷惑している!ということが延々と語られています。
ではFNはどのようにして移民を減らすのか。
当然サルコジ批判の後に、これでもかといわんばかりの具体策が16項目に渡って並んでいます。
そのうちの主要策は以下の通り ↓
目標:年20万人流入する移民を、5年をかけて、年1万人にまで減らす。
- 移民労働者が家族を呼び寄せる権利を廃止する。
- 難民の受け入れを抜本的に減らす。
- 国境検査を再開する
- 滞在許可証の最長年数10年を3年に縮小する。取得条件も厳しくする
- 出生地主義の廃止(フランスで生まれ、5年間フランスで教育を受けると自動的に国籍がもらえる制度を廃止する)
―関連策:EU以外の国との2重国籍を認めない
- 不法滞在者がゼロになるまで、根気よく追放する
- フランス人優先主義を取り入れる
―具体例その一:フランス国籍を採用の際の最も重要な基準とすることを企業に促す。
―具体例その二:求職中の外国人はその期間が1年を超えた場合は祖国に戻ってもらう。それまでに納めた年金は国庫に帰属する
―具体例その三:家族手当(allocations familiales)は親のどちらかがフランス人または欧州人である場合のみ受け取れるように定める
- 「共和国はいかなる共同体も認めない」と憲法に追加する
という感じで、本当にすべてが実施されれば、移民を20分の1にするという彼らの目標はいとも簡単に達成されそうです。
日本人にとってつらいのが、「滞在許可証の年数縮小」、そして「1年以上の失職は“強制送還”」の二つ。日仏混血の子供がいれば「出生地主義の廃止」も。出生した時点で国籍を選ばされることになるかも・・・。
そして、捉え方で色んな解釈ができてしまうのが?の「共和国はいかなる共同体も認めない」という一文。イスラム教徒の移民街はもちろん、中華街や日本人街までもがアウトになるということなのか、それともイスラム教徒だけが対象だけど、あえて明言していないだけなのか・・・
移民政策以外にも、文化的なことは「フランスに関するもの」に限定され、選択の自由が与えられなくなるのは必至(文化政策のページに実際にそう書いてある)。映画館や本屋が“フランス製”で埋め尽くされるのは、かなり辛いものがあります。
躍進しているとはいえ、FNが政権をとることはない、と周囲のフランス人たちは口を揃えますが、2017年の大統領選までは気が抜けません。