田舎者ほど極右に投票する
一昨日の地方新聞の一面はこうでした ↓
「Le vote FN s'ancre à la campagne(極右票、田舎に定着)」
前回の記事中で「(先日の地方選挙において)極右の得票率の全国平均は28,7%で胸をなでおろした」と書きましたが、うちの県の3つの村では、なんと50%に届きそうな数字を打ち立てたそうです。
フランスの村なので有権者数は少ないところでは100人以下ですが、投票率も軒並み高く、塵も積もれば山、このような“村の声”がいくつも合わさった結果が極右圧勝に導いたのかもしれません。
一方、5000人以上の町では極右票は20%台で揃っていて、全国平均より低いところがほとんど。
うちの町を例にとって見ると、隣接する県庁所在地(中都市)の極右の得票率は26%に満たないのに対して、その周辺の町村の得票率はどこも30%を超えています。以前住んでいた人口7000人規模の町とその周辺も同様の結果でした。
移民が多く住む都会より移民が少ない田舎ほど極右に期待する・・・そんな傾向が、今回の選挙で顕著になったと言えます。
新聞の二面に、極右に投票した人たちのコメントが載っていました ↓
- Anaïsポルトガル系の21歳・女性 「ずっと“彼女(※)”一筋。友達もみんなそう。本当のことを言っているのは“彼女”だけ。」 (※国民戦線(極右政党)の党首・Marine Le Penのこと)
- Mathieu28歳・男性 「(極右には)ずっと投票してる。」「外国人に国を売り込んできたフランスが情けない。僕たちがもらえないものを移民系に与えるのはもうやめたほうがいい。奴らは働く気のない居候だ。彼らに対する社会保障は停止するべき。」 Emmanuel (Mathieuの同僚)イタリア系男性 「(祖父母はイタリア人だったけど)イタリア人は働き者。(だから今“問題となっている”移民系とは違う)」
- Célia40歳・女性 「働いていない人が誰よりも社会保障を受けている。フランス人以外に与えてばかり。路上生活者は山ほどいるというのに。」
- William76歳・男性 「今まで彼ら(国民戦線)は囚人のような扱いを受けてきた。きちんと承認された政党だというのに!彼らに“人でなし”の汚名を着せるなんて酷い話だ。」
思うに、この人たちの言う「移民系」は田舎に行けば行くほど数は減り、彼らの周りに実際に「移民系」がいるのかどうかさえ疑問です。
つまりは言っていることのほとんどは人づてに聞いた話か妄想の類で、聞くに堪えないことばかり。 実際に移民系の知人や友人がいれば、こういうことは絶対に言えません。
イスラム国がイスラム教から出てきたことは多くの専門家が認めていることで、イスラム教という宗教を現代に適応させなければならないのは必至ですが、それとこれとは話は別。
過激派だけならともかく、フランスに適応しようとしている穏健な移民もひっくるめて滞在拒否しようとしている国民戦線が政権を握ったところで、現状が改善されるとは思えません。
この記事は、前述の差別的なコメントをしたMathieuの言葉で締めくくられます。 「経験のある人たちの政治はもう見尽くした。“ペスト”も“コレラ”も経験したんだから“癌”になってもいいだろう。それも駄目ならまた変えればいい。」
その“癌”が悪性で“また変える”ことが不可能になってしまったら? ・・なんて考えるのも、彼らにとってはこの政党に対する差別なのでしょうか。