投票所見学と極右圧勝と夫婦口論
選挙日和の昨日・・・
例によって、旦那さんの投票に付き添ってきました。
投票所に入るなり目に飛びこんできたのは・・・
巨大な投票用紙!
大統領選挙も県議会選挙も片手の手の平に収まる程度の小さな紙切れだったのに、今回の地方選挙は一枚の投票用紙が、なんとA4サイズなのです!
用紙には党名や代表名、スローガン、簡単なマニフェストなどの他に、候補者の名前がずらり。
22あった地方が数ヶ月前に合併して13に縮小(物理的には拡大・・・)されて以来の地方選挙で、候補者リストが倍増した結果でした。
更に笑ってしまうのが、封筒のサイズがいつも通り(写真上参照:水色の小さい封筒 笑)なので、今回のA4サイズの用紙は4つ折、いや8つ折にしないと入らないこと!
封筒がパンパンなら、正午の時点ですでにゴミ箱も一杯、透明な投票箱も中身が半分に達していて、明らかに無理矢理なのです。
特にこの“いらない投票用紙は捨てる”という仕組みは、明らかにエコの観点から批判されるべきことであって、それでなくてもCOP21の最中だというのに、フランスは一体何をやっているんだか・・・。
――――数時間が経過―――――
19時過ぎ、テレビをつけてみると・・・
<棄権率(※)49,5%>のテロップ!
(※フランスでは投票率ではなくて棄権率を周知する)
その下に小さく前回の地方選は棄権率が53%だった、とあるので減少しているのは確かですが、『注目の選挙』と言われていたわりには伸び悩んだ感があります。
20時、再び恐る恐るテレビをつけると、今度は<FN(極右)40%>(の得票率!)、という文字が目に飛び込んできて仰天!
結局この数字はルペンファミリーのお膝元の得票率で、全国平均は28,7%だったことがわかって胸を撫で下ろしたわけですが、これを更に有権者数に換算すると(投票率51%の28,7%なので)、実際は15%。
選挙の度に「大勝」ともてはやされながらも、有権者全体の支持率は17%程度のどっかの暴走政権を彷彿とさせる数字ですが・・・
それにしても「極右」でこの数字は前代未聞の高さで、我が家は昨日「なぜ極右がここまで伸びたのか」をめぐって夫婦で口論になりました。
夫は、「極右を退ける方法は3つ。①政党そのものを禁止する②今まで仲間はずれにしていた方法を改め、議論に参加させてボロを出させる③悪者扱いする― 今まで他の政党はこのうちの3つ目しか実行してこなかった。そうこうしているうちに時代が極右に追いついて、有権者が他政党にうんざりすると同時に極右に共感するようになった。」
と分析したのですが、私は「テロ直後の選挙で、有権者はもっと投げやりな気持ちで感情的に投票している。極右のマニフェストを読んで共感している人なんてごく僅か。」と言ってお互いが譲らないまま日付が変わってしまいました。
ところで日本のメディアには、「極右大勝」という見出しで極右の勝ちが決定したように思わせる記事が多いですが、来週の決選投票では右派と左派がいつになく協力して“極右潰し”にかかるので、極右が勝つ地方はどんなに多くても3つまでだと推測されます。(それでも十分多いですが・・・)
問題は、この潰し方が次回の大統領選でも通用するのかということ。
2002年の大統領選挙で極右のルペン・父が決選投票に残ったときは、シラクが80%越えの得票率で圧勝したけれど、2017年のことを想像してみると明らかに同じシナリオが描き辛くなっているのです。
選挙翌日の地方新聞。ブルゴーニュ&フランシュ・コンテ地方の結果は、FN(極右)31,5%、右派連合24%、左派連合23%で見出しは『極右が大差勝ち』。ディジョンのあるCôte-d'Or県を除いて軒並み極右が圧勝だった模様。
ただし2番手と3番手が接戦のため、どちらが引くか揉めてるという話も。二人とも出た暁には負け戦確実なんですが・・・