国際ペンクラブに勇気を称えられたシャルリー・エブド
以下のニュースに関して日本語で触れている記事がないので、書くことにします。
5月5日、シャルリー・エブドが国際ペンクラブから勇気と表現の自由を称える賞を授与されました。
もっとも、200名以上の作家が“反イスラム主義を今以上に煽る”として異議を唱えていて、文字通り、皆に祝福されたわけではありません。
シャルリー・エブド自身はそのことは百も承知で、誤解を解くべく、2名が授賞式に参加しました。
800人の出席者を前に、Gérard Biard(ジェラール・ビアール)局長は、壇上で
「Le journal a combattu le rasisme depuis le tout début (シャルリー・エブドは、立ち上げ当初から差別と戦ってきた」
と明言。続けて
「政治や宗教における反啓蒙主義(※)に対して皆で立ち上がりましょう。」
(※意図的に曖昧な言い方をしたり、またある問題を明確にすることを妨げるような態度)
と呼びかけました。
理解者たちの声は以下の通り ↓
反差別団体(SOS Racisme)のDominique Sopo代表:
「論争はシャルリー・エブドに対する無理解によるもの。1月7日の犠牲者の死を無駄にしないためにも、同紙の本質を知ることが大事。」
コンゴとフランスの両国籍を持つ作家、Alain Mabanckou氏:
「(賞の授与)に反対した作家の多くは、テロが起きてからシャルリー・エブドの存在を知りました。そして彼らは同紙について深く追求しませんでした。」
このことについて、シャルリーのBiard局長は以下のように考察:
「アメリカとフランスでは宗教の捉え方が違います。アメリカでは、国は宗教に介入してはならない、というのに対して、フランスでは、宗教は国に介入してはならない。説明しなければならないのはその部分です。」
英国人作家、Neil Gaiman氏:
「この場に招待されたことを誇りに思う。・・・シャルリー・エブドの風刺画家たちの勇気が報われた。」
日本やアメリカでは、他人の宗教を尊重するべきだと考える人が大多数で、シャルリー・エブドの宗教批判を良く思っている人はほとんどいません。
ただし、上記の発言の中にもある通り、フランスの風刺の歴史や社会背景、更にはシャルリー・エブドの精神(反啓蒙主義を否定すること)を知ろうとせずに批判するのは、あまりにも軽率だと思います。
それが個人ならまだしも、ジャーナリストとしてしっかり取材もせずに受け売りや勝手な解釈で間違った報道をするのはもってのほか。
非難できそうな情報だけを掻い摘んで提供していたのでは、それを読む人が批判的になるのは当然です。
一部の読者だけとはいえ、シャルリー・エブドが受け入れられる本当の理由は何なのか、そして批判を受けながらもフランス社会から追放されない理由は何なのか、同紙を批判している人は今一度考え直して欲しい。
特に日本のメディアには、こういう肯定的な話こそ追求して報道して欲しかった。
このまま日本では“シャルリーは悪”という見方が定着してしまう(もうしてしまった?)のかと思うと、本当に残念でなりません。