続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

フランスの原発ロビーが生んだ、福島の住民を帰還させるプログラム

4月29日、以下のようなメールが届きました。

 

Bonjour, Désolé de répondre si tard à votre demande; cette émission avait été diffusée en partie seulement le 11 mars en direct à cause de problèmes de liaison, et elle a été remontée ensuite, mais vous pouvez la re- écouter vers midi trente en trois parties à partir d'aujourd'hui les mercredis à 12h30; cette émission se trouve dans notre liste de podcasts (site "www.canalsud.net" tapez 'fukushima" dans le petit rectangle de recherche, ou tapez "canal sud fukushima" dans un moteur de recherche ). Excusez les doublons éventuels, personne ne se rappelle si on vous a déjà répondu ou non. Merci. Pour Canal Sud, J-F d.
(日本語訳 ↓) こんにちは 返信が遅れて申し訳ありません。この番組は連結ミス(?)により、3月11日にその一部だけが生放送されました。本日12時半より、ポッドキャストにて収録された3部構成の番組を視聴できます。(www.canalsud.net のホームページで“Fukushima”を検索するか、検索サイトで“canal sud fukushima”を入力してください)貴方に返信したかどうか誰も思い出せないため、重複メールの場合はお許しください。

 

差出人は、今年の3月11日に特別番組「4年後の福島」を企画したラジオ局:Canal sud ・・・

そうなんです!

もう諦めていたあの番組が、視聴できるようになったのです。

http://www.canalsud.net/?PODCAST-Fukushima-4-ans-apres

 

メールで問い合わせてから返信まで1ヵ月半かかったり、リンクを貼らずに自分で探せと言ったり、「返信したか思い出せない」なんていうオチまでついていましたが、重要なのは、この番組が視聴できるようになったこと。

 

メールにもあるように、番組は3部構成で、あわせてみっちり3時間。3つのラジオ局が計6名の専門家を迎えての大規模な共同企画でした。

 

フランスの原発ロビーが生んだ、福島の住民を帰還させるプログラム

(これ ↑ は写真です。視聴はコチラから。)

 

番組内容は、福島の実態はもちろん、チェルノブイリに始まる原発ロビーの歴史や彼らの手口に関して詳しく解説しています。 最後まで聴いてみて思い知らされるのは、チェルノブイリの事故以来すべての原子力に関する事柄は繋がっていて、原発大国であるフランスもフランス人も当事者であり、福島の原発事故は他人事ではないということ

 

以下、Roland Desbordes(ローラン・デボルド), président de la CRIIRAD (クリラッド(放射能 に関する調査および情報提供の独立委員会)代表の健康被害に関する話の日本語訳を載せておきます。

 

(フランス語を解し時間もある方は3時間視聴されることをお勧めします)。

 

《健康被害について話します。長い間、放射線は上限値を定めれば、それ以下なら健康被害はゼロ、それ以上なら何かしら影響があると考えられてきました。ところが90年代になって、根拠のある上限値は存在しないことが明らかになりました。それは特にラドンという放射性ガスの研究を通してわかったことです。

 

結局、上限のない継続的な影響を受け入れざるを得なくなりました。言い換えれば上限値をいくら定めても、被爆量が微々たる量だとしても健康被害はあるということです。それはかなり厄介なことでした。なぜなら原子力を発展させたい場合は、上限値を設定しなければならないからです。

 

そこで、専門家たちは自分たちが受け入れられる範囲の被害の上限を提示することにしました。その許容範囲というのは、原子力の発展を妨げないための、死者数をできる限り抑えた、経済的に問題のない上限値なのです。上限値はそのようにして定められます。それは決して、健康被害がないと言い切れる上限値ではありません。上限値以下なら影響はないというのは真っ赤な嘘です。

 

(中略)

 

今、福島では何が起こっているのか。先ほどもエートスの話が出てきましたが、すべては福島ではなく、チェルノブイリ、正確にはベラルーシで生まれました。では、エートスのプログラムは誰が作ったのか。プログラムを作り上げたのは、CEPN(放射線防護とその評価に関する研究センター)のメンバーで構成された、フランスの原発ロビーです。CEPNは奇妙な団体で、CEA、EDF、AREVA、IRSN(国立専門機関)の4つのメンバーからなっています。フランスにおける、これ以上の原発ロビー団体はありません。

 

彼らはベラルーシで何をしたのか。まずは、ヨーロッパから資金提供を受けました。現地で活動するために必要な資金です。ヨーロッパのお金がベラルーシでの“不正な仕事”に使われたわけですから、全く酷い話です。では、その“不正な仕事”とはどのようなものだったのか。それは、住民を看護せずに観察することで、どうやったら住民を留まらせることができるか知ろう、というものでした。これはベラルーシのほうが、体制や時代背景などが今の日本に比べてやりやすかったからということもあるかもしれません。しかしながら、住民たちを汚染地域に留まらせ、被爆量を管理する、というのは今実際に日本でも行われていることです。 これらのプログラムがうまくいけば、これまで通りにやっていける。つまりは、万が一病気になっても、それは原発ではなく、被爆量を管理できなかったあなたが悪いのですよ、と言って罪の意識が被災者に降りかかるようになっているのです。

 

(中略)

 

このプログラムは、当然、フランスで事故が起きた場合も適用されます。このまま原発をやめなければ、事故が起こった後に私たちを待ち受けているのは、このプログラムです。日本ではそれが現在進行形で実践されています。驚いたのは、(エートスを日本で展開する上で)ごまかそうとすることもなく、「エートス in Fukushima」という名称にしたことです。そこに属するのは、普通の人、一般市民だったりして、彼らは原発ロビーに操られ、そのことに気づいていません。これは本当に深刻な問題です。》

 

 

このほか、番組に出演したもう一人の専門家、Cécile Asanuma-Brice(セシル・アサヌマブリス)氏の発言内容は、このブログに載せたことのある彼女の最新記事とほぼ同じです。放射線防護に関する市民科学者国際会議のサイトで私の訳が採用されたようなので、まだ読んでいない方はこちらもあわせてどうぞ。

 

http://csrp.jp/posts/2133