続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

シャルリー・エブド 1179号

待ちに待ったシャルリー1179号が2月25日に発売されました!

 

(シャルリー・エブドに関する過去記事はこちら ↓ )

 http://mafrance.cocolog-nifty.com/blog/je_suis_charlie/index.html

 

 

前回の700万部には及びませんが、今回も怒涛の250万部を発行。シャルリー・エブドとしては、10万部くらいで落ち着いてくれるほうが有難いはずですが、まだまだ人々の興味が薄れる様子はありません。

 

 

バカンス中だというのに、昨日7時起きでキオスクに急いだ旦那さんは、3軒目でやっと最新号を入手。

 

 

シャルリー・エブド 1179号

 

 

表紙を担当したのは、前回と同じ風刺画家、LUZ(リューズ)。

 

 

真っ赤な背景色の上で、犬に扮したサルコジ前大統領、マリーヌ・ルペン極右政党党首、イスラム国戦闘員、ローマ法王、銀行員、同性愛者の結婚などに反対するデモの参加者、ユダヤ人 等々がシャルリー・エブドを加えた犬を追いかけています。

 

 

絵のタイトルは「...c'est reparti !」。日本のメディアは「再開だ!」と訳しているところもありますが、「さぁ再出発!」というほうがしっくりきます。

 

 

というのも、前回の1178号は、事件直後の混乱の中で勢いで出した・・・いや出せたものの、今回は様々な葛藤の末に作り上げた、事実上の再出発を象徴する号だからです。

 

 

シャルリー・エブドに編集室を提供し、今週号発売までの特集記事を掲載したリベラシオン紙 ↓ によると、

 

 

 シャルリー・エブド 1179号

 

 

前代未聞の売り上げに戸惑い、未だ癒えぬ心身の傷と向き合いながら、6ヶ月以上の休刊や廃刊を考慮したメンバーもいたといいます。

 

 

特に、テロ以来編集長を担っているRiss(りす)は、肩に受けた傷の痛みが残っていて思うように絵が描けないでいるばかりか、今もテロリストがとどめを刺しに来る夢をみると吐露しています。

 

 

それでも続けることにしたのは、ここで長く休んだり廃刊にすることは、犠牲になった風刺画家たちが持ち続けてきた硬い意思に反することであり、1万人から22万人に増えた定期購読者に申し訳ないから。

 

 

LUZの描いた表紙にはこれまでシャルリー・エブドが描いてきた代表的な登場人物が集まっていて、「これまで通り続けよう」というシャルリー・エブドの決意が読み取れます。ここで無視してはならないのが、サルコジとマリーヌ・ルペンに扮した犬が先頭を走っていること!

 

 

これは、シャルリー・エブドの主役は誰がなんと言おうと国内の政治家だという証拠です。

 

 

同日の新聞「Aujourd'hui en France」に、こんな数字が載っていました。

 

 

シャルリー・エブド 1179号

 

 

シャルリー・エブドのここ10年の523枚の表紙を調べた結果・・・

 

 

イスラム教関連の絵を載せた表紙はたったの7枚、全体で見るとわずか1,3%だということがわかったのです!!!

 

更に、全宗教をひっくるめても、表紙に宗教関連の絵が載ったのは523枚中38枚だけ!

 

一方、最も多いテーマは政治で、523枚中、なんと336枚が政治関連の表紙でした。

 

 

こうしてみてみると、シャルリー・エブドがイスラム教、ひいてはムハンマドに執着しているというのは大きな誤りで、他の同業者などが勝手に作り上げた事実無根のイメージに他ならないことがよくわかります。

 

 

この調査をした社会学者は言います。

 

 

「理解しなければならないのは、なぜシャルリー・エブドがイスラム差別をしているのかではなく、なぜイスラム過激派だけが自分たちの宗教を揶揄する新聞を抑圧しようとしているのかということ」

 

 

ムハンマドに執着しているのは、シャルリー・エブドではありません。それは、シャルリー・エブドを敵だと思い込んでいるテロリストを始めとするイスラム教徒、そしてシャルリーエブドを差別主義者に仕立て上げたい人たちなのです。

 

 

朝日新聞は今回の表紙について「預言者の姿は見当たらない」と、誤解を助長することを書いています。上記の表紙の統計からは、この先ムハンマドが表紙に出てくる可能性は限りなく低いわけですが、これからもムハンマドが描かれないたびに「今回も見当たらない」と言い続けるつもりなのでしょうか?

 

http://www.asahi.com/articles/ASH2S0G23H2RUHBI02X.html

 

 

私個人としては、今回の表紙で追いかけている犬の中に、日本のジャーナリストも加えて欲しかった。

 

そうでなければ、風刺画について「まずもって自国の政治家にやるべきであって」とか言っちゃった宮崎駿氏を登場させて欲しかった。

 

 

この表紙の中で一連のメディアの動きを象徴しているのが、ローマ法王の頭上にある「BFM」と書かれたマイク。

 

 

BFMとはBFMTVというフランスのニュースチャンネルのことで、テロ以来好き勝手なことを言い振りまわって、シャルリーをネタにし続ける同業者を代表する存在。(すべてのメディアを揶揄する意味もあるので、ここに日本のメディアも含まれているということにしておこう・・・)。

 

 

本来なら、最後尾で“ネタ”を追いかけるはずのシャルリー・エブドが、追いかけられているという構図も、今のシャルリー・エブドやメンバーの気持ちをうまく描写していると思います。

 

 

一ヵ月半かけて出すに至った最新号。考え抜いた末にこれまでと変わらない方針で続けることにしたシャルリー・エブドの面々に、一読者として心から拍手を送りたいです。