続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

汚染水漏れの報告を一年後にすることが許されるなら・・・

先日、2013年9月に日本で物議を醸した、この風刺画まわりに掲載された記事の全文リンクを以前のブログ(ココログ)のコメント欄で教えてもらいました。 ↓

汚染水漏れの報告を一年後にすることが許されるなら・・・

この記事を読めば、風刺画そのものが「“アンダーコントロール”なんて真っ赤な嘘で、日本が2020年のオリンピック招致には適さないということを指摘している」のは誰の目にも明らかになるはずですが、この記事の内容を知ってか知らずでか、日本のメディアはこの記事には一切触れず、政府も記事を無視してカナール・アンシェネに抗議しました。

ところが、ここにきて「実は1年以上前から汚染された雨水がK排水路という排水溝から海に流れていた」ことが発覚しました。 あるブログの記事では、一年前どころか事故直後から把握していただろうと言っています。

これがK排水路 ↓

汚染水漏れの報告を一年後にすることが許されるなら・・・

この公表によって暴走総理のアンダーコントロール発言は虚言だったことが明らかになったわけですが、ならば一年半前に書かれた関連記事や風刺画の誤解を今更解くのも決して遅くはないだろう・・・ということで訳してみました ↓



カナール・アンシェネの記事の日本語訳 ↓ 
(注:この記事には多くの比喩や皮肉表現が使用されています)



その頃福島では、シャドック(※)が汲み上げて、また汲み上げて・・・  

2013年9月11日 

 

事故から2年以上経った今も、荒廃した原発はあちこちで熱を帯び、漏れ続けている。作業員は、水を注入する傍ら、もう一方で汲み上げる。終わりは見えない。

被災した1〜3号機までの炉心は今も高熱を帯びたまま、私たちを脅かしている。もし冷却をやめてしまえば、核燃料の温度は、放射能を振り撒きながら危機的に上昇する。唯一の解決策は注水。だから東電は毎日350トンの水を絶え間なく注ぎ込む。

ただし、注水しながら汲み上げなければならない。なぜなら注水した水は、炉心に触れたとたん、汚染水に成り代わってしまうからである。核燃料棒はもう鉄のカバーに保護されていない。汚染水は、原子炉の溶けた部分から、地震と津波と爆発で荒廃した建屋の地下に流れていく。

 

除染という頑固な罠

汚染水が太平洋に流れないようにするために、東電はその一部を回収しようとする。だから日がな一日汲み上げる。注水して汲み上げる。汲み上げて注水する。笑ったら負け。汲み上げか注水の罰ゲームが待っている。

しかし、これだけの汚染水をどこに貯蔵するというのか。そこで名案:除染してそれをまた循環させればいいだけの話じゃないか!一件落着! とは言うものの、汚染水を除染するのはそう簡単なことではない。Areva(フランスの原子力大手)はその除染役を買って出た。子分のVéoliaと共に、フランスの原発ロビーは浄化設備を緊急で作った。“放射性物質の濃度を一万分の1にまで薄める”と彼らが自信を見せたのは、2011年7月、津波の4ヵ月後のことである。しかし、「その浄化装置が作動したのはたったの4ヶ月間。しかもトラブルが頻発していました。」と、フランスの独立検査機関、l'Acroの代表で放射線物理学者のダビッド・ボワレーは言う。「それに、その装置が除去できたのは塩とセシウムだけ。汚染水には60以上の放射性物質が含まれているというのに。」 東芝が除染のバトンを受けたものの、2つの装置がフランスのそれよりも優れているかというと、そうでもない。順調に作動しても凝縮された放射性物質は高レベルの危険な放射性廃棄物と化し、行き場を失っている。

今はとにかく冷却が最優先。東電には2020年までに炉心を取り出す計画がある。完全解体までは、順調にいってもあと40年はかかる。 事実、今は“亡き”シャドック(※)のように汲み上げているばかりでは不十分である。煮たぎる炉心に向けてかけられる水の一部は震災で出きたひびから漏れ出す。その水は建屋の下にある地下水を汚染する。良質な天然水を含むその水は、海に放出される前にあっという間に汚染される。つい最近、東電は建屋の地下室を通る水路を見つけた。毎日400m²の汚染水が地下に流れ込んでいた。 さぁどうする?もちろんこれも汲み上げる!でもこの膨大な量の水をどうすればいいのか?東芝の装置が一日350tを浄化して、それを原子炉の中に再循環できたとしても、東電は残りの400tをどうしていいかわからない。だからとりあえず貯めておく。汲み上げた後、鉄の板を合わせてボルトで締めたりするだけの手っ取り早く組み立てられる巨大なタンクに貯める。タンクの数はすでに1060を超え、その中に33万トンの汚染水が入っている。しかしこれで事足りるわけではない。

 

タンクの話

2日おきに新しいタンクを追加しなければならない。コストが嵩む。倒産寸前の東電は大急ぎで安物のタンクを設置して監視をケチる。これらのタンクは“漉し器”同然。その多くが漏る。東電はその事実に偶然出くわした。(2013年)7月、タンクの近辺を不合理にうろついていた社員数人のガイガーカウンターの値が急上昇。タンクからの汚染水漏れが原因だった。間もなくして、別のタンクでも漏れが確認される。毎時1800ミリシーベルト。その場に小一時間もいれば死んでしまう。 あちこちから海に流れ出ようとする汚染水を抑制するために、日本のゼネコン大手が名案を発表した。―1,4kmの長さにわたって、建屋を長方形の地下壁で取り囲み、原子炉を隔離する― 土壌を凍らせ、内側の汚染水を留まらせておくためには、地下30メートルの深さまで管を通し、マイナス40度の液体を循環させなければならない。工事に要する期間は3年。結果は必ずしも保証されていない。過去も将来も国民に支持され続けると自負する日本の現政権は一刻も早く原発を再稼働しようと意気込む。2020年のオリンピックより前に。そして盛大に・・・

 

※シャドック(Les Shadoks)― 40年前に放送されていたアニメ ↓ 

シャドック星の住人たちが一つの目的を達成するために試行錯誤するけれどいつも失敗に終わってしまう

 

汚染水漏れの報告を一年後にすることが許されるなら・・・

(結果的に何も起こらなかったとしても、汲み上げずに最悪の事態になってしまうよりは、汲み上げるほうがいい。) Youtubeの映像はコチラから