投票所が厳かである必要はない
昨日は県議会選挙の日(一票の格差を少なくするために選挙区が是正されて以来始めての選挙)
・・・だったので、旦那さんに付き添って投票所に行ってきました。
自分が投票できるわけではないのになぜ?と思われるかもしれませんが、実は私、フランスの投票所を見学するのが好きなのです。
だから見学は今回で4回目(4ヶ所目)。
何が良いかって、まずは見学しても何も言われないところ。
そして、雰囲気がとにかく和やかなところ。
一つ目に関しては、投票所に入って、投票用紙を選ぶ(※1)ためのこういう ↓ カーテンの向こう側に、私や息子が足を踏み入れても本当に何も言われません。
※1 フランスでは候補者名や政党名が予め印刷されたすべての投票用紙(今回のうちの地区では4枚)を受付で受け取った後、簡易投票室の中で一枚を選んで封筒に入れたものを投票します。選ばれなかった投票用紙は足元や近くにあるゴミ箱に捨てられるのでゴミ箱をあされば傾向がわかったりします。誰も漁らないけど。ちなみにこれは開票がスムーズになるという利点はあるものの、紙の無駄遣いになるので個人的には評価していません。
投票用紙の一例 ↓ 県議会選挙は男女比を同じにするために、男女一組で立候補する。投票用紙にも二人の名前を連名。
ついでにこれが前回の大統領選挙の投票用紙 ↓ 名前だけのシンプルな紙。これもどちらかがゴミ箱に捨てられる・・・
さて、話を元に戻して・・・
二つ目の“投票所の雰囲気”に関しては、これが見学したくなる最大の理由。
顔見知りがいれば立ち話が始まるし、列ができていればワイワイガヤガヤと映画やコンサートの開場でも待っているかのような和やかさの中で、皆が順番を待っています。
そんなリラックスムードの最終地点が、孤立していない投票箱。
一つの投票箱の前で2、3人が監視していて、もう一度そこで選挙人証を見せ署名してから投票します。ただし、目の前に人がいれば何か言わないと気がすまないフランス人たちが、黙って名前だけを確認することに終始するわけもなく、何かしら言葉が交わされるのを見たり聞いたりするのがまた面白い。
今回も、旦那さんと、4歳児、そしてカメラを構えるアジア人(←私)が目の前に現れて、旦那さんが「息子に投函させてもいいですか」(←法律違反)なんて言ったものだから、監視員の3人が色めきたったのは言うまでもありません。
「いいですよ。まぁ嘘ですけどね。」と真顔で言いながら投票箱を息子が投票しやすいように傾ける監視員とそれを見て笑うほかの二人。(注:一応、旦那さんも封筒に手を添えて自分で投函したことにしました)
その直後に私が「投票してるところを(カメラに)収められなかった!」と言えば、「あっやり直す?」とこれまた真顔で冗談を言う監視員。
この寛容さと適当さと人間味は、一度経験したらやめられません。
こうして見学するたびにどうしても比較してしまうのが日本の投票所。というより、日本の投票所を知っているからこそ、フランスの投票所の和やかさに心打たれるというのが本当のところ。
私にとって日本の投票所は・・・
・ 張り詰めた空気
・ 投票用紙に記入している間に感じる冷たい視線
・ 孤立した投票箱に投函するときに感じる孤独
が空間を支配しているようなところ。
どれも私の偏見だと言ってしまえばそれまでですが、同じように感じている人は少なくないはず・・・。
そして、仕切りの間にカーテンを設置しようが、投票箱の後ろに人がいようが、その空間にいるのが日本人であれば、同じ空気が形成されるということを知ったのが在外投票(この話はだいぶ前にもしたことがありますが・・・)。
在外投票所に入るなり、私以外は皆立ち入り禁止を警告され、緊張が張り詰めた厳かな空間に置いてきぼりにされた私は、その場所を出るまで冷や汗をかきまくって、どっと疲れたことを今でも鮮明に覚えています。
非日常的な場所と化している日本の投票所と、明らかに日常の延長線上にあるフランスの投票所。
どちらが投票の意欲をそがないかと言えば・・・答えは誰が見ても明らかではないでしょうか。
・・・と言ってみたものの、昨日の投票率はたったの51%でした(爆)でも“県議会”という規模の小ささからすれば、なかなかの数字だと思います。
ちなみに、圧勝かと言われていたFN(極右政党)は、UMP(保守政党)に続く2位どまり。どの政党も得票率が50%を超えなかった選挙区では、一回目に全有権者数に対して12,5%以上の得票率を得た候補者だけを対象にした2回目の投票が来週末に行われます。(今回はフランス全国の約1500ヶ所で一騎打ち、約300箇所で3つ巴(どもえ)の戦いになる予定)うちの地区でも、FNが2位につけていて、UMPとの一騎打ちが予定されています!
結果はいかに?!