続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

フランス人は虫を捕らない

夏休みが始まる数日前(つまりは10日ほど前)、旦那さんが息子を幼稚園に送っていく途中で、こんなことがありました。

 

 

幼稚園まであと少しのところで、ある一軒の家の前を通りかかると・・・

 

 

軒先から出てきた男性が突然絶叫しました。

 

 

 

「うわっ!なんだこれ?!」

 

 

 

何事かと驚いた旦那さんは自転車を降りて近くに寄ってみました。

 

 

男性の傍でなにやら黒いものが宙を舞い、飼い猫が必死になって捕まえようとしています。

 

 

黒いものはどうやら虫らしい。

 

 

「何これ?こんなの見たことない!」

 

 

虫らしき物体が地上に降り立ち、それを観察する大人二人。

 

 

「同僚の生物の教師なら知ってるかも。」

 

 

旦那さんが中学校に持って行くことを提案。

 

 

その時、男性も娘を幼稚園に送らなければならず、虫の捕獲は奥さんに任せて4人で幼稚園へ。

 

 

 

・・・・・・数時間が経過・・・・・・

 

 

 

正午前、私が息子を迎えに行った帰り道、他の母子数人と共にその家の前を通ると・・・

 

 

待ってましたとばかりに男性が私に手招きしました。

 

 

男性の手には、捕獲した虫が入ったBonne Mamanのビン。

 

 

あぁやっぱり

 

 

遠目にみてもそれとわかる虫は・・・

 

 

 

 

ほかならぬクワガタでした。

 

 フランス人は虫を捕らない

 フランス人は虫を捕らない

 

 

フランスで見かけるのは、これが初めてなような前にもあったような・・・どちらにしろ、住宅街の家の軒先で見かける昆虫ではありません。

 

 

「フランスでは珍しいかもしれませんが、日本では有名な虫ですよ。熱心な収集家もいて高価な値段で売買されてます。」

 

 

と私が言うと、男性が・・・

 

 

 

「えっ?食べるの?」

 

 

(えっ?そういう意味で受け取るの??)

 

 

「いやいや食べません。カゴに入れて観察するだけです(苦笑)」

 

 

「あっそうなんだ」

 

 

「どちらにしても毒があるわけでもないし、挟まれないように気をつければ大丈夫です。」

 

 

一同一安心。

 

 

クワガタ入りのBonneMamanのビンを受け取って再び家路につこうとしたところ、今度は一緒に下校していたママの一人が言いました。

 

 

「虫には栄養があるからね。」

 

 

「いや、だから食べるために捕るわけじゃないです。」

 

 

「でも、食べる人もいるでしょ?」(←どこか他の国と混同している)

 

 

「・・・いないと思います。」(←と言いつつ私が知らないだけで食べてる人がいるような気がしてきた)

 

 

「ほらでも栄養があるって言うじゃない」

 

 

「そ、そうですね。確かに幼虫なんかは栄養があると言う話は聞いたことがあります・・・」

 

 

etc・・・

 

 

・・・とこんな感じで、「虫は体にいい」という想定外の結論に至って、会話終了。

 

 

 

収集することを「食べるために捕獲する」と勘違いするフランス人たち。

 

 

なぜなんだ??と考えて気が付きました。

 

 

そう言えば、フランスでは虫かごを見かけたことがない。

 

 

これだけの自然に囲まれているのに、夏休みに子供が網とカゴを持って歩いてるのなんて見たことがない(日本でももう見かけない?)

 

 

つまり、フランスには(というか日本以外には!?)虫を捕って観察したり飼ったりする習慣がないのです。

 

 

フランス人にとっては、「虫を捕る=飼う」ではないので、何か他の目的を考えたときに「=食べる」と連想してしまうのでしょう。

 

 

 

さて、Bonne Mamanのビンに入ったクワガタの“その後”はというと・・・

 

 

帰宅途中だった息子と私は、生物の教師を探すべく、そのまま中学校の校舎に直行しました。

 

 

最初にクワガタを見た経理のおばちゃんは、前述の男性同様「こんなのみたことない!」と驚愕。

 

 

事務のおばちゃんも、すれ違う生徒たちも、口を揃えて「うわぁ何これ〜?!」と大騒ぎ。

 

 

そんな中、一人だけ「ときどき山で見かけるわよ」と言って冷静沈着だった人がいました。それは、だいぶ前にこのブログで紹介したことのある女校長

 

 

「元の場所で放してあげるのが一番よ。その虫だって、家族がいるかもしれないんだから。」

 

 

という鶴の一声で、生物の教師に見せる案は却下され、できるだけ早くもとの場所に放してやることになりました。

 

 

昼食後、再び自転車で息子を送り出した旦那さんは、例の家に戻って事情を話しました。

 

 

「再び家族の元へ」というキャッチフレーズが情に訴えかけたのか、男性はすぐさま同意。

 

 

クワガタは、その家の玄関先の植え込みに放たれ、数時間ぶりに自由の身となりました。

 

 

                               おしまい

                  

 

 

 

(家族の元に帰れたかどうか・・・というより、家族がいるかどうかはクワガタのみぞ知る・・・)