続・真(ま)フランスの日常

フランスの時事、フランス生活の実態、エコライフ、日本を想う日々・・・                                    (ココログで綴っていた「真(ま)フランスの日常」 http://mafrance.cocolog-nifty.com/ の後継ブログです) 反核・反戦!

折り紙教室始めました

フランスの中学校には、放課後の部活動はありません。(高校もしかり)

 

 

午後の最後の授業が終われば皆そそくさと帰宅するのが普通。

 

 

日本人からすれば、「全員帰宅部」という感じでしょうか。

 

 

部活動がない理由は、授業料が無料の公立校では経済的な余裕がないから。

 

 

ただし、一度帰宅してから体育・文科系を問わず習い事に出かける生徒は沢山います。

 

 

習い事の多くは自治体が主催であることが多く、種類も豊富で授業料もお値打ち(※1)なことから、週に3つも4つも習っている子も少なくありません。 (※1 スポーツ系の習い事の場合、年間の授業料が100ユーロ前後というのが一般的)

 

 

それでも家庭の事情で(親が酒におぼれていたり、家庭の優先的な支出がタバコだったり・・・)

習い事はやったことがない、という子もいるのが現状。

 

 

そういう子供たちにも救いの手を!という趣旨なのかどうなのかはわかりませんが、うちの旦那さんが勤める中学校で、長い昼休み(※2)の一部を使って文化系のクラブが開催されるようになりました。 (※2 昼休みは通常2時間。学校で給食を食べる生徒の多くは暇をもてあましている)

 

 

将来漫画家を目指す生徒たちが集まる漫画クラブ、音楽好きな生徒が楽器を持ち寄って楽しむ音楽クラブ、思考力や集中力やを高めるチェスクラブなどに紛れて・・・

 

 

なんとなんと、折り紙クラブも登場!

 

 

実はこの「折り紙」、フランスでは息の長いブームだったりします。

 

 

大都市はもとより、田舎でも数年前から知られるようになり、「Origami」と「r」をしっかりフランス語の発音で言えば大方のフランス人が知っているほどポピュラーになりました。

 

 

ただし、手先が不器用なフランス人たちにとっては、「練習したり、人に教わらなければ習得できない芸術の一つ」のような位置づけ。

 

 

うちの旦那さんなどは、折り紙ができるのは一つの才能だと思っているほどで、折り紙クラブができたと知って最初に思いついたのは・・・

 

 

 

その顧問に私を推薦することでした(爆)

 

 

・・・って聞いてないよ〜

 

 

と尻込みしたのも束の間、あれよあれよという間に話が進んで、週一回一時間のペースで始めることにしたのが数ヶ月前のこと。

 

 

人に何かを教えたことと言えば、数年前に日本語の家庭教師を数ヶ月間したくらいで、未経験同然。

 

 

息子と折り紙をすることはあっても、わが子と他人の子、1人と複数では条件が全く違います。

 

 

そんな私に務まるのだろうか?と不安を抱えながら始めたわけですが、さすがはOrigami、最初は6人だったのが回を進めるごとに生徒が増え、今では15人(!)になり、週二回に拡張する話まで出てきました。

 

 

ただし!

 

 

一時間が私の思い通りに過ぎるかと言えば、全く進まない!というのが本当のところ。

  

前述した通り、フランス人(欧米人?)は大人が不器用なので子供はもっと不器用というのが現実。

 

 

いまでこそコツを掴んで折れるようになった子がほとんどですが、最初のうちは、この本 ↓ に載っている折り紙でさえできない子が沢山いました。

 

 

 

 折り紙教室始めました

 

 

 

・・・『親子で遊べる3〜5才のたのしい!おりがみ』 新宮文明 著

 

 

フランスの中学校は日本の小六の年齢から始まるとはいえ、一番年下の子でも12才

 

 

そうなのです

 

 

3〜5才というのは“日本の3〜5才”だったのです!

 

 

しかも、日本人の大人なら数分、子供でも十数分あればできる折り紙に、丸々50分かけて完成に至るのはまだマシなほうで、諦めて放置してしまう子もいるのだから笑い事ではありません。

 

 

 そんな手先の不器用さに輪をかけて手に負えないのが、生徒たちの傍若無人っぷり。

 

 

中には落ち着きのある静かな生徒もいますが、「なぜそうする???」という行動を取る生徒のほうが明らかに多いのです。

 

 

例えば、我が折り紙クラブ唯一の男子生徒(白一点?)は、とにかく落ち着きがなく、同じ場所に座っていません。いや、場所を変えてもまだ座っているならいいのですが、気がついたら私の横に立っているとか地べたに座っているということがしょっちゅう。その男子が動き回るからかどうなのか、周りの女子もつられて、いつのまにか教室の半分近くが走り回っていた(汗)なんてこともありました。

 

 

ある時は、仲良し女子二人組みが突然歌いだしたので耳を澄ませてみると・・・なんと日本語で歌っているではありませんか!

 

「それ誰の歌?」

 

「アチュオンミキュ」

 

「・・・もしかして、ハ・・・初音ミク????」

 

 

またある時は、ある女子生徒が突然泣き出したので「ど、どうしたの?」と聞いてみると、「さっき廊下で誰かに突き倒されたことを思い出したら悲しくなったの」と言われ、泣き止ませるのに苦労したり・・・

 

 

またある時は、別の女子生徒が突然「先生!バンドエード持ってませんか?」と聞くのでどうしたのかと思ったら、その子の人差し指の爪が縦に真っ二つに割れていて中の肉が丸見え(怖!)で、たまたまその日は保健室の先生がお休みだったので、ダッシュでバンドエードを取りに帰ったり・・・

 

 

またある時は、生徒の1人が突然立ち上がって教室を出て行ったと思ったら監視員(※3)と戻ってきて、監視員に「ほかの生徒がうるさくて集中できないっていうから大人がいないのかと思ったらいるじゃない」と吐き捨てるように言われてプライドをズタズタにされたり・・・ etc etc

(※3 フランスの学校には生徒を監視・指導する監視員が1人または数人配属されている)

 

 

という感じで、毎回多かれ少なかれ折り紙とは全く関係のないことに手を焼き、やっと折り紙ができると思ったら今度は不器用さに嘆く・・・ということを繰り返しているのです。

 

 

 

・・・と、ここまで読むと「あんたの指導力不足なんじゃないの?」と思う人がいるかもしれません。

 

 

私もそう思って、教え方を変え、ボキャブラリーを変え、試行錯誤しました。

 

 

でも結果は一緒。

 

 

折り紙クラブでの出来事を旦那さんに話すと、言われることはいつも同じ。

 

 

「フランスの中学校へようこそ」

 

 

そう、これがフランスの中学校、中学生の実態なのです。

 

 

しかもこの仕事、「旦那のコネでできて良かったね」なんて思い違いもいいところ。

 

 

全てボランティアでやっています!

 

 

旦那さんはチェスクラブの顧問をしていますが、彼もその時間はボランティア。

 

 

予算がなくて部活動がないんだから、昼間のクラブ活動に回すお金があるわけがないのです。

 

 

外部の人間に指導料を払って頼んでいる学校もあるようだし、うちの中学校も一昔前はそういう余裕があったらしいですが、公立校はこれから益々貧乏になっていく(そういう教育改革が着々と進んでいる!)ので、これから支払われる希望はほとんどなし!

 

 

まぁでも、なんだかんだ言って、折り紙が完成して生徒が喜ぶ姿を見るのは嬉しいものだし、何よりも旦那さんの苦労がわかるようになったのは良かった・・・と思うことにしないとやってらんな〜い!

 

 

 

 

今週の折り紙 ↓

 

折り紙教室始めました

 

『はばたく鳥』

 

 

折り紙教室始めました

 

首を持って尾を引っ張ると“羽ばたく”!という遊べる折り紙です。

 

 

 

この折り方が載っているのはこの本 ↓

 

 折り紙教室始めました

 

前述の本よりワンランクアップした『5〜7才のおりがみ』(笑)

 

すでに10回を超えたので、スムーズにできるだろうと予測したのですが・・・

 

15人全員が完成するのにかかった総時間40分!

 

それに加えて、完成後に生徒たちが5歳児同然にはしゃぎ回って手に負えなくなった・・・というオチつきでした(涙)