消えたベルギー原発情報
息子共々、体調を崩して更新が滞っている間にまたヨーロッパでテロがありました。
「またか」というか「やっぱり」というか、驚くことはほとんどないものの、堂々と空港内を歩いている犯人の姿を見ると、隙を突かれているようで、防ぐ手立てがあったのではないかと思わずにはいられません。
私が今回のテロを知ったのは、発生してまもなくのこと。昼食をとりに一時帰宅した旦那さんから聞いたわけですが、午前中はまだ体調が優れず、息子と一緒にこの種のニュースを見るわけにもいかず、テレビをつけたのは息子を再び幼稚園に送り出してからでした。
BFM TV、France24、euronews...
どのチャンネルも把握している情報は限られていて、専門家も推測で話をしています。現場に居合わせた一般人が撮ったスマートフォンの映像がひっきりなしに流れ、少ない情報をひたすら繰り返すオウム返しのような報道が続いていました。
ところが
そろそろ消そうかと思った矢先、それまでとは明らかに違う種類のニュースが耳に入ってきました。
「ベルギーの原発で、一部の技術系作業員を除いて避難勧告が出されたようです。」
とうとうこの日がやってきたか。
危機感を募らせた私は、そのニュースを聞いたBFM TVからチャンネルを変え、他がどう伝えているか把握しようとしました。
再び、euronews、France24、i-télé...
もう一度、BFM TV。
あろうことか、BFM TVしか伝えていない。しかもそのBFM TVも数十分後にはこのニュースを伝えるのをやめてしまいました。
そして今日(3月23日)、手に入る限りの新聞に隅々まで目を通したところ・・・
ありました。
Aujourd'hui en France(Le Parisien)の6面に小さく、でもネットにはない貴重な情報が。
(※ 右下の水色の部分)
<原発が標的に?(←タイトル)
午前10時30分、ベルギー政府は、国内(2ヶ所、全7基)の原発の警戒態勢のレベルを引き上げると発表した。これは一連のテロを受けてのことではない。Salah Abdeslam(サラ・アブデスラム:パリ同時多発テロの実行犯)を追跡中、ベルギー警察はAbdeslamの友人・Mohamed Bakkali(11月26日逮捕)の妻の自宅を家宅捜索した。Bakkaliはパリのテロを計画した1人で重要な役割を担っていたとされている。11月30日、ベルギー警察は家宅捜索の押収物の中に、あるビデオを発見した。再生してみると、それは収録時間が10時間に及ぶ隠しカメラの映像だった。カメラはアントワープ近郊に住むベルギー原子力研究センターの研究員宅の生垣に設置されていた。誘拐の下準備?原発テロ計画?真相はわかっていない。>
恐ろしい話です。
こういう話を聞いても「それって、たまたま原発研究員の家だっただけじゃない?」などと呑気なことを言える人はいるでしょうか?
今回のテロの標的が原発ではなかったことは、不幸中の幸いでした。
ベルギーには原発は2ヶ所しかありませんが、その周辺をあわせると6ヶ所(フランス:3、オランダ:1)。
(赤丸が稼働中のベルギーの原発。今回避難勧告が出されたのは内陸にあるTihangeのほう。)
(ちなみにブリュッセルはここ ↓)
ベルギーの原発が無理だとわかれば、必然的に“それ以外”に目を移すでしょう。
一番大きな損害を与えられるのが原発だということはもうバレています。
果たしてヨーロッパの原発所有国は、私たち市民を守り抜くことができるのか・・・