離婚が不幸だとは限らない
日本では、中身や詳細をさておき、とりあえず続けることに意義があると思っている人がほとんどです。なので、日本の社会においては仕事も結婚も長く続ければ続けるほど自分のなかで自信になるし、周りも褒めてくれる・・・というのが一般的です。
一方、フランスでは、仕事でも私生活(※)でも多くの人が「心地よさ」を重視します。(※“結婚生活”ではなく“私生活”と書いたのは、事実婚が多いから。)だから、「心地よさ」を感じなくなると、結婚も仕事も「辞めよう」と考え、短期間で実行に移してしまいます。仕事に関してはある程度の妥協をして続ける人もいるとはいえ、離婚や事実婚の解消は思い立ったが吉日、子供がいようがいまいが、新たな「心地よさ」を求めて即断。どちらかが納得いかなかったとしても、相手の決断が揺ぎ無いものだとみると、すんなり受け入れてしまう、つまりは、別れの自由、相手の自由を尊重するわけです。
先日、十数年前に日本人のパティシエと結婚した、パリ在住の元TBSのアナウンサー・雨宮塔子氏が離婚した、というニュースを読みました。
私が最初に読んだ記事のタイトルは・・・
「中山美穂に続いて雨宮塔子も離婚!憧れの「パリ暮らし」はなぜ不幸になる?」
http://www.asagei.com/excerpt/42063
たった二つの例をとって、「憧れのパリ暮らし=不幸になる」と言っています。更には「離婚=不幸」だとする日本人の離婚に対する先入観も盛り込んでいます。
記事の終盤では、 フランスに詳しい日本人記者が語るフランスの離婚の実態にも触れています。「個人主義が浸透しているフランスの離婚率はとても高く、4人に1人が離婚しています。さらにパリだけでみると2人に1人という割合。その一方で再婚率も非常に高く、こうした環境に身をおいていると、日本人に比べて離婚に対するイメージが違うのかもしれませんね」
ただし、これだけではフランスが「離婚や再婚ばかりの変な国」または「バツがついた不幸な人が多いの国」のようなイメージを日本人に与えるだけで説明不足です。
フランス人が離婚する(または別れる)のは、精神衛生上よくないことを続けることを嫌うからで、理由はともかく、もう一緒にいたくないと感じるようになったから別れる、ただそれだけのことです。それをネガティブなことだと捉える人はほとんどいません。子供がいれば尚更。親がストレスを抱えながら生きることは子供にとってもよくないと考える人が多く、両親が揃っているから、または生みの親が両方いるから「幸せ」だという規準はないに等しいと言えます。
十数年フランスで生活する雨宮氏が、フランスの価値観で離婚を決断し自身の離婚に対してもネガティブな印象を持っていない可能性は十分ありえます。
なので、前述の記事は彼女にとっては、きっと大きなお世話でしょう。
雨宮氏の本当の不幸は、フランスでの離婚を日本の価値観でネタにされ揶揄されたこと・・・ではないでしょうか!?