フランスで流通する“わさび”に入っているもの
数日前、たまった新聞を整理していたら、11月2日付のカナール・アンシェネの次のような見出しが目に留まりました。
「Wasabi: bas la pâte?!」
これは「bas les pattes(私に触るな)」という表現をもじった言葉遊びで、「la pâte」は「生地」や「練り物・ペースト」などを意味します。フランス語の言葉遊びを訳すのは難しいのですが無理やり日本語にすると、「私(わさび)に触れないで!」とか「わさびに触るな!」という感じになると思います。
「わさび」を問題提起した話!?
とさっそく読んでみると・・・
そこには、フランスに流通する「わさび」のなんとも恐ろしい実態が暴かれていました。
まず冒頭では、本物のわさびは栽培に特殊な条件を要するだけでなく手間暇もかかるため、100g14ユーロもする高価な代物であることが紹介されています。
要は、本物のワサビをすりおろして「原材料:わさび」だけでお寿司を握るなどということは、よほどの高級店でしか有り得ないことになります。
では、その他大勢の「寿司屋」や「日本食レストラン」、出来合いの寿司を並べるスーパーチェーンでは何が使われているかというと・・・
これ、だそうです ↓
ってナニコレ?
私はオーストリアにいたので実物もペースト状の瓶詰も見たことがあるのですが、これはいわゆる、日本語でいう「西洋わさび」。フランス語では「raifort」と言われていて、色は全く違うものの、わさびと同じくらいの強烈な辛さが持ち味の調味料なのです。
ドイツ語圏では肉料理のソースや付け合わせとして頻繁に食されています ↓
家庭用の瓶詰も色んな種類が売られています ↓
フランスでも探せば入手可能で、特にアルザス地方では決して珍しいものではないようです。
閑話休題
ここで重要なのは、「日本の本わさびと西洋わさびは色が違う」ということ。
というより、西洋わさびは緑色ではないところがミソです。
なぜなら、「わさびは緑色」ということはフランスの寿司好きの間では常識なので、このまま白い状態で寿司に乗せるわけにはいかないからです。
ではどうするか。
と、誰の頭にも思い浮かぶのは、当然のことながら、着色料!
着色料ほど手っ取り早く白色を緑色に変えてくれるものはありません。
よって、フランスでは、当たり前のようにE102(黄色)とE133(青色)を「西洋わさび」に混ぜて、ついでにマスタードやら大豆粉やらコーンスターチやら植物油やら砂糖やらその他諸々の添加物で嵩増しして、客に提供しているのだそうです。
・・・えっ!?大したことじゃない?
いえいえ、これらの着色料、特にE102(黄色)は、アメリカ、オーストリア、ノルウェーなどで、アレルギー反応を起こすとして禁止されています。
また、E133(青色)は、長い間EU諸国で禁止されていたものが後に解禁され、駄菓子の着色などに当たり前のように使われていますが、アレルギー反応を起こすだけでなく、「注意欠陥多動性障害」を引き起こす可能性や発がん性が指摘されているのです。
ちなみに、日本で売られているチューブ入りの「わさび」も、安ければ安いほど中身のほとんどは「西洋わさび」だそうです(爆)
しかも緑色にするための着色料・E102とE133は、それぞれ黄色4号、青色1号、と呼ばれていて普通に市場に出回っているので、“無着色”の表記でもない限り、大方原材料に含まれています。
まぁ、わさびなんて食べたとしても少量だし、大したことないよ・・・
と思う人がほとんどだとは思いますが、たかがわさびされどわさび(読みにくい!)。フランスでも日本でも安い日本食レストランやテイクアウト、回転ずしなどでは、添加物を表示していない場合がほとんどで、魚や米などの原材料の出どころも不明。それに加えて黒マグロなんかは絶滅危惧種に指定さている・・・等々、避けたほうがいいものばかり。
それから、前述したとおり、これらの着色料が含まれているのはもちろんわさびだけではありません。
色鮮やかな外見に惹かれて・・・なのかどうなのか、フランスでは大人も結構な頻度で食べているBonbons(グミなどの駄菓子)はその代表格。
フランスの子供たちのBonbonsの食べっぷり(与えられっぷり)には唖然とするばかりですが、彼らの多くが落ち着きがない理由ってもしかしたら・・・と勘繰ってしまったりもするのです。